最後尾は譲らない

走るマネージャーです。最後尾絶賛走行中

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涙の最期

記録会4日前の割には異常にきついメニューを終えて、
僕たちは疲れた体を引きずるように部室棟へと撤退した。

部室で休んでいくかさっさと家に帰ろうかと考えていると
先輩から集合がかかった。部室棟前。
もうだいぶ暗くなってた。長距離はとうに解散済み。

円になり、なんだろうと思いつつ話を待ってると、重々しい声が聞こえてきた。
この前相談にのってくれた先輩。
「先生のメニューがおかしいのはよくわかる。よくわかる。俺らが引退すれば...
2年生中心になっていくけど、自分たちで加減していっ...」
そこで言葉が切れた。

暗くて顔は見えなかったけど、、、泣いてる?
誰よりもパワフルで誰よりもバネがあって誰よりも速かった先輩。
僕の自分勝手な相談に真摯に助言してくれた心強い先輩。
が...泣いてる?

しばらく経って、「...悪い...」
聞いた事も、聞く事があるなんて思った事すらない涙声だった。
ハッと思った。自分の事ばかりで頭一杯になってた。。。
「...俺らみたいになってほしくない。だから...気を付けてほしい。」

そう、その先輩は総体に間に合わないのだ。肉離れ。
高校生最期の大会である総体。関東、全国につながるおっきな大会。
苦しかった練習の集大成でありラストチャンス。これが終われば引退になる。

聞くところによるとその先輩、
中学校でサッカー部に入っていた先輩は高校で陸上部に入部。
持ち前の筋肉とバネから期待の新人であったが
肉離れをしかけた足を無理に酷使して出た大会で腱(靱帯?)断裂。
手術をし、1年以上かかって陸上界に復活。(今でも腱だかが1本ないらしい)
そこから1年以上のブランクを巻き返そうと必死に練習し、
だんだんとタイムが上がっていき県の常連へ。
その先輩が県上位を狙おうと意気込んでいたのが総体。
最初で最後の総体だった。
とのこと。

でも、でもさ。先輩を待ちかまえていたのはなんだった?
手術にも辛いリハビリにも耐え、誰よりも必死に多く練習をし、得たものはなんだった??
上位になれただ関東に行けただそんな話じゃない!
そのチャンスすら得る事ができなかったんだ先輩は!!
なんのための辛い悲しい2年間だったんだ??
なんのために死ぬ思いで練習に励んでいたんだ???
先輩の努力は何の形にもならなかった、何も。。。
活躍の機会を与えられずに先輩は引退する、そんなの、そんなのあっていいのか?!

頭がグラグラした。
陽気を装いながら、悲しみにくれているであろう先輩に僕は何を言った?
「中長距離に移りたいと考えてるんですけど~?」
ほんと、ほんとバカだよ。何故先輩の事を考えなかった...

事情を知れば誰でもわかる先輩の悲しみ。辛さ、無念。
なのに何故僕は気づかなかった?
自惚れていた以外のなんでもない。無神経。


今更ながらに気づいた、度を超えた自分勝手な自分に対する自己憎悪と先輩の無念。


文字通りの涙声で解散を命じ、泣き崩れる先輩、よろよろと近づいた僕はしばらく何も言えなかった。
謝って許される事じゃない。許されたってどうなる事じゃない。
ならば僕が言う事は決まっていた。
先輩の意志を、今度こそ、今度こそは途切らす訳にはいかない。
先輩のような事になる人が二度といてはならない。
「1年生を、ケガさせないように、全力を、尽くします。」
途切れ途切れに、でも一言一言強調して言った。・・・つもり。
僕の言ってること間違ってないよな?
顔を上げた先輩-初めて見る涙顔-は「おぅ」といって顔を伏せる。
隣にいた先輩と目が合う。
言いたい事はわかってる。邪魔だよな。僕。

部室に入った僕は誰と顔を合わせる訳でもなく、着替えを済ませ帰路についた。


ちなみに100%現実の話であって、脳内ではないのです。
現実の話。現実に起こってしまった話。
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